断罪された公爵令嬢は元婚約者の兄からの溺愛に囚われる

「ジャック皇太子殿下には酷い目にあってない? イーサン元第二皇子殿下の時だなんて、何度あの足を踏んでやろうと思ったことか……」
「ふふっ、シャルロッテ。本当のことだけど、余りに不敬よ。それに、ジャックさまには凄く良くしていただいているの」
「そのようね。リングの紫水晶が、殿下の瞳そっくり!」

 幼馴染のシャルロッテに突っ込まれると、なんだか恥ずかしくて、照れてしまう。そして数ヶ月ぶりに会うシャルロッテのマシンガントークは止まらない。

「そうそう、リリアン男爵令嬢なんだけど、辺境にある男爵領に謹慎になっているらしいわよ。許可が出るまで男爵領から出ないよう通達されたんだって!」
「まぁ……そうだったの……」
「私は国外追放が妥当かと思ったけど、温情をかけたって印象よねー。何でも余りに気の毒だって、ハーゲン皇弟殿下が口添えしたようよ」
「知らなかった……。それでもいつ許可が出るか分からず男爵領にずっと留まるだなんて、充分に厳しい罰だと思うわ」

 あの婚約パーティーは、随分な醜聞になった。リリアン男爵令嬢には、数多くのご兄妹がいるようだし、その方々の就職や婚姻も見つけるのが困難になるだろう。
 何だか、暗い話ばかりだ。もっと明るい話をしたい。わたくしは思いついた話題をシャルロッテに振ってみる。

「それより、愛しの次期宰相閣下とは、最近どうなの?」
「っ!!」
「わたくし、ずっと屋敷にいて飽きてきたのよ。今日はまだ時間があるし、たっぷりシャルロッテの恋の話を聞かせて欲しいわ?」

 赤面しているシャルロッテに沢山質問を投げて、きゃあきゃあガールズトークをして、それはそれは盛り上がった。
 その後、ジャックさまのことを聞かれて、シャルロッテに反撃されたのは言うまでもない。

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