月下の恋人…missing
「ねぇ光にぃ」
低い段差を登って大きな窓を開けて、外を向いたままポツリと話し出す。
『ん……』
「心配してるかな」
強い風がまゆの長い髪をサラサラと揺らして、小さな背中になびいた。
『後悔してる?』
不安なのは俺も同じだったから。
自分に確認するようにまゆを後ろからたまらず抱きしめて、言葉を重ねた。
『俺は後悔なんてしてないよ』
「光にぃ。ごめんね」
か細い声が消え入りそうで、それでもどこかへ行ってしまいそうで抱きしめる腕に力が入る。