へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜
何がどうなってるの……?!
声にならない思いを目でリヒトに訴えかけるが、挑発的な彼の目にねじ伏せられてしまう。
「お前の召喚獣は俺だぞ?あいつらを手懐けたように、俺も手懐けてみろ」
「ちょっと……!意味が分からないんですけど?!」
「主であるお前がこうして下にされている時点で、俺の力の方が上なんだろうな。どうした、主。抵抗したいなら抵抗しろ」
挑発的なリヒトに抗いたい気持ちもあるが、相手は上司。これで即座にクビになってしまったら、行く宛てがない。
それにここでようやく作り上げてきた、自分の居場所を奪われるのが嫌だった。
堪えるしかないと唇を噛み締めると、体を重ねるようにリヒトが近づいてくる。すぐ目の前に綺麗な顔が迫ってきたかと思えば、ふっと耳元に息がかかる。
「〜〜っ!」
「真っ赤だぞ。どうやら、ここが弱いらしいな」
言われなくとも、今の自分の体が過剰に反応して熱を帯びていることぐらい分かっていた。指摘されることで、尚のこと意識してしまうのは彼の計算のうちなのだろう。
私が召喚してしまったことで、こんなに怒らせちゃってるのよね……でも、どうしたらいいの?
手懐けろという彼の命令の意図を汲み取ることも出来ず、耳に軽く口付けされると、反射的に声が出そうになるのを何とか堪える。