エレベーターから始まる恋
「グンジ、レジ横のカレーパン出来立てだってよ。美味そうだぞ」

「あぁ」

一人でいるのかと思ったけど、別の誰かに声を掛けられていた。
彼は長くお弁当類を品定めしていた割には、全く別のパスタを手に取りレジに向かう。

その一連の行動をじっくり見てしまう自分を客観的に考えたらとても気味悪く、ははっと一人苦笑いをしてしまう。

彼は"グンジ"と呼ばれていた。
初めて知ることができた、彼の名前。

「…グンジさん」

忘れることがないよう小さく呟き、その名前を胸に刻んでおにぎりを適当に選び3階を後にした。
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