貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
「確かに……まぁ……そうですね」
溜め息混じりに私が返していると、お父さんがいそいそと部屋に戻って来てまた座った。
「新さんの横に書くなんて緊張するなぁ」
そんなことを言いながらお父さんは、ここぞと言う時に使っている万年筆を走らせている。
「あの。はじめさんって?」
私は小さく主任に尋ねると、主任も小さく「俺の父だ」と返した。
「……ですよね」
当たり前の答えが返ってきて、私はそう答えて体を小さくした。
お父さんは顔を上げると、笑顔で私を見る。そして、紙の向きを反対にすると私に差し出した。
「さあ与織子。次はお前だ。特別にこれも貸してやる」
そう言って笑顔のまま万年筆を差し出され、私はしかたなくそれを受け取った。
生まれて初めて見る婚姻届。もちろん夫になる人の欄は全て記入済みだ。私は万年筆を持ったまま、しばらくそれに見入っていた。
「どうかしたか? 与織子」
心配そうにお父さんに尋ねられ、私は顔を上げた。
「どうかしたのかって、さすがに躊躇くらいするでしょ? いくら出さないって言っても婚姻届だよ?」
私がそう訴えると、お父さんは不思議そうな顔で「出さないのか?」と返す。
「出すの⁈」
溜め息混じりに私が返していると、お父さんがいそいそと部屋に戻って来てまた座った。
「新さんの横に書くなんて緊張するなぁ」
そんなことを言いながらお父さんは、ここぞと言う時に使っている万年筆を走らせている。
「あの。はじめさんって?」
私は小さく主任に尋ねると、主任も小さく「俺の父だ」と返した。
「……ですよね」
当たり前の答えが返ってきて、私はそう答えて体を小さくした。
お父さんは顔を上げると、笑顔で私を見る。そして、紙の向きを反対にすると私に差し出した。
「さあ与織子。次はお前だ。特別にこれも貸してやる」
そう言って笑顔のまま万年筆を差し出され、私はしかたなくそれを受け取った。
生まれて初めて見る婚姻届。もちろん夫になる人の欄は全て記入済みだ。私は万年筆を持ったまま、しばらくそれに見入っていた。
「どうかしたか? 与織子」
心配そうにお父さんに尋ねられ、私は顔を上げた。
「どうかしたのかって、さすがに躊躇くらいするでしょ? いくら出さないって言っても婚姻届だよ?」
私がそう訴えると、お父さんは不思議そうな顔で「出さないのか?」と返す。
「出すの⁈」