貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
お父さんは何を考えているんだ。私を早々にバツイチにしたいのだろうか。私は唖然としたままお父さんを眺めていた。

「与織子」

お父さんは真面目な顔をしてそう言うと、こちらに身を乗り出す。

「これはだな。川村家と朝木家の……」

までお父さんが言ったところで、スパンと引き戸が開き「コーヒーお待ち~!」と陽気な声とともにふう君が入って来た。ふう君は持っていたトレーを置くと「はーい。与織は紅茶な」と、私の前にティーセットを置く。

そこはまずお客さんに出そうよ……

心の中でふう君に突っ込みながら、私はその行動を眺める。

「創一さんはブラックでいいでしょ?」

当たり前のようにそう言うと、ふう君は主任にコーヒーを差し出す。

「あぁ」

最後にお父さんの前に、きっとすでにお砂糖がたっぷり入っているだろうカフェ・オ・レを置くと、ふう君はふと机の上にあるものに視線を向けた。

「何書いてんの?」

そう言うとふう君はそれを覗き込んだ。

「はあっ⁈ 何? 婚姻届?」

ふう君は叫ぶように声を上げる。

「ちょっ、与織、結婚すんの? ってまさか創一さんと?」

慌てふためくふう君を宥めるように「これには色々とわけがあって」と私は言うが、向こう側から主任の涼しげな声が聞こえてきた。

「そうだ」
「いくら創一さんでも簡単に与織を嫁に出せるわけないだろ!」
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