貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
お弁当を食べ終え、先に清田さんには席に戻ってもらい、私は自動販売機に向かいながら、溜め息を吐く。
それにしても……。創ちゃんの『それらしく振る舞おう作戦』は、早速効果があったようだ。私達がいくら婚約しましたと上に報告したところで誰も信じない。周りからじわじわと噂してもらうのが一番だろう、と。
だから今日も一緒に出社したし、帰りもできたら一緒に退社して、周りに付き合ってるアピールをしなきゃいけないのだ。
そしてとにかく今日は、なんとしても社長と専務に婚約の報告をしておきたい、と言うのが創ちゃんの願いだった。
こんな面倒事は早く終わらせて気楽になるに限るよ!
一人頷きながら自動販売機でミルクティーを買い、取り出しているとミニバックに入れていたスマホが小さく鳴り始めた。
「朝木ですっ!」
『俺だ。今どこだ?』
「自販機のところです」
『じゃあ社長室の前で待ってる』
「……はい」
その用件のみで電話は切れ、画面に視線を落としたまま、私はまた溜め息を吐いた。
業務連絡にもほどがあるよ! ほんとに!
創ちゃんは、時々突然恋人かな? ってくらい甘くなるのに、普段は仕事の鬼的な何かを醸し出す。
本当の恋人じゃないし、仕方ないよね。だって私は偽物だし、枚田さんのように創ちゃんに抱きつく権利もないのだから。
トボトボと社長室に向かうと、少し手前で創ちゃんが待っていた。仕事用のスーツに黒縁眼鏡。休みの日には上げている前髪は、今は表情を隠すように下されている。私が入社してからその姿は変わらない。
でも……
「与織子」
そう私を呼んで笑みを浮かべた創ちゃんは、前とは違う。
私はそれを、嬉しく思う反面、悲しくもなっていた。
それにしても……。創ちゃんの『それらしく振る舞おう作戦』は、早速効果があったようだ。私達がいくら婚約しましたと上に報告したところで誰も信じない。周りからじわじわと噂してもらうのが一番だろう、と。
だから今日も一緒に出社したし、帰りもできたら一緒に退社して、周りに付き合ってるアピールをしなきゃいけないのだ。
そしてとにかく今日は、なんとしても社長と専務に婚約の報告をしておきたい、と言うのが創ちゃんの願いだった。
こんな面倒事は早く終わらせて気楽になるに限るよ!
一人頷きながら自動販売機でミルクティーを買い、取り出しているとミニバックに入れていたスマホが小さく鳴り始めた。
「朝木ですっ!」
『俺だ。今どこだ?』
「自販機のところです」
『じゃあ社長室の前で待ってる』
「……はい」
その用件のみで電話は切れ、画面に視線を落としたまま、私はまた溜め息を吐いた。
業務連絡にもほどがあるよ! ほんとに!
創ちゃんは、時々突然恋人かな? ってくらい甘くなるのに、普段は仕事の鬼的な何かを醸し出す。
本当の恋人じゃないし、仕方ないよね。だって私は偽物だし、枚田さんのように創ちゃんに抱きつく権利もないのだから。
トボトボと社長室に向かうと、少し手前で創ちゃんが待っていた。仕事用のスーツに黒縁眼鏡。休みの日には上げている前髪は、今は表情を隠すように下されている。私が入社してからその姿は変わらない。
でも……
「与織子」
そう私を呼んで笑みを浮かべた創ちゃんは、前とは違う。
私はそれを、嬉しく思う反面、悲しくもなっていた。