貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
「こちらこそ。期待しています」

それだけ言うと主任は私達のほうに向き直った。

「では、社まで案内します。その後はオリエンテーション、役員との懇親会と続きますのでそのつもりで」

威圧感さえある低い声で言われて、私も桃花ちゃんも途端にビシッと背筋を伸ばすと「はい!」と返事をした。
川村主任を先頭に、桃花ちゃん、私と続く。私はみー君に「じゃあね」と小さく言いながら手を振ると、みー君もこそっと「また帰り連絡するね」と笑顔で見送ってくれた。

歩幅の広い主任に小走りで付いて行くと、主任はエレベーターホールを通り過ぎて階段のある扉へ向かった。

そう言えば会社は16階だったっけと思いながら、私は扉の中に進んだ。

それにしても……。みー君もしかして、主任のこと知ってたのかな? もの凄く怖そうな人だし、違う会社にも知られるほどの有名人とか……?

ちょっと不安になりながら、私はキビキビと先を歩く主任の背中を見上げていた。
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