貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
「え? あのっ? どなた?」

ホテルのスタッフさんなのか、ブラックスーツを着た、私より小柄な可愛らしい女の子の姿。

「説明はあと。こっちに来て」

彼女は私の腕を引くと小さな扉の中に私を引き摺りこんだ。

「お。無事連れてきたな」

扉を出ると、そこは舞台裏のような場所。そして、そこにいたのはふう君だった。

「当たり前でしょ? 私を誰だと思ってるの?」

彼女は腰に手を当て、得意気にそう言っている。

「ふう君? えっと、わけがわからないんだけど……」

戸惑う私に、ふう君は「悪りぃな、与織。こいつは俺の……なんだ? 下僕? 犬?」と笑いながら言っている。

「よく言うよ。あんたが下僕なんでしょ! 私がいないと何にもできない癖に!」

状況が飲み込めず、ポカンとしていた私に、彼女は笑顔を見せる。

「私は、浅葱(あさぎ)。颯太の彼女。よろしく!」

どう見ても、私より年下にしか見えない女の子にそう言われ、私は思わず「はい⁈」と声を上げた。

「おいっ! まだ彼女にするって言ってねぇぞ!」

慌てて打ち消すふう君に、彼女は「時間の問題でしょ!」と笑って返していた。
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