貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
そうやって始まったのは、約6年前、私は高校1年生、創ちゃんは社会人1年目の12月の話だ。
「その頃には、もちろん一矢とも颯太とも、いい関係を築けていたと思っていた。だが社会人になり、旭河を取り巻く環境を知れば知るほど、俺は不安になった」
静かに語る創ちゃんの顔は、もう半分瞼が下りている。最初は力が入っていた背中に回った手も、だんだんと緩やかになっていっている。
「今回みたいな事件、いや、事件になる寸前の話など、グループ内ではそれなりに聞く話だった。やはり、同じ旭河の系列と言っても、力の大小はあって、少しでも上を狙いたいものはいたから」
専務が私を狙ったのは、株を使って旭河の経営に口を挟みかったのだろう、というのがいっちゃんの見解だ。他に株を持つものを取り込み、議決権を行使して自分たちの有利に持っていくつもりだったのでは、と創ちゃんも言っていた。
「だから俺は朝木家に、与織子のお父さんに、直接頼みに行こうと思ったんだ。うちの株を守って欲しいと」
うちが持っていた株がいったいどのくらいだったのかはわからない。けれど、創ちゃんがそんなことを思うくらいには持っていた、と言うことなんだろう。
「その頃には、もちろん一矢とも颯太とも、いい関係を築けていたと思っていた。だが社会人になり、旭河を取り巻く環境を知れば知るほど、俺は不安になった」
静かに語る創ちゃんの顔は、もう半分瞼が下りている。最初は力が入っていた背中に回った手も、だんだんと緩やかになっていっている。
「今回みたいな事件、いや、事件になる寸前の話など、グループ内ではそれなりに聞く話だった。やはり、同じ旭河の系列と言っても、力の大小はあって、少しでも上を狙いたいものはいたから」
専務が私を狙ったのは、株を使って旭河の経営に口を挟みかったのだろう、というのがいっちゃんの見解だ。他に株を持つものを取り込み、議決権を行使して自分たちの有利に持っていくつもりだったのでは、と創ちゃんも言っていた。
「だから俺は朝木家に、与織子のお父さんに、直接頼みに行こうと思ったんだ。うちの株を守って欲しいと」
うちが持っていた株がいったいどのくらいだったのかはわからない。けれど、創ちゃんがそんなことを思うくらいには持っていた、と言うことなんだろう。