貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
「主任って……与織子の上司のことか? 何か言われたか?」

そう言うといっちゃんは険しい顔になる。なんでだろう?直接話をしていたみー君も様子がおかしかったし、いっちゃんも難しい顔をしている。やっぱり怖くて有名とか……?

「ううん?何も言われてないよ。むしろ何も言わないから、ちょっと怖そうだなぁって思っただけ」

私がそう言うと、いっちゃんは少しホッとしたようにまた箸を動かし始めた。

「なんだ。何かあったのかと思っただろ。それに、その主任ってやつも喋ってみたらいいヤツかも知れないぞ?俺だって与織子の前じゃこんなだけど、職場じゃ鬼の部長とか言われてるみたいだしな」

筑前煮に視線を送り、せっせと箸で拾っては口に運びながらいっちゃんはそう言った。

………………。待って?今なんて言った?

私はさっきの台詞の内容を頭の中で反芻する。私が呆然としていることに気づいていないのか、いっちゃんは筑前煮のカケラまで綺麗に食べてから、平然と顔を上げて缶ビールを手にした。
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