貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
「あーでたでた。本当に川村は固いことばっかり言うな」

面倒くさそうに専務は主任に返してからまた私のほうを向く。

「じゃあ朝木さん、いつなら空いてる?朝木さんのためならいつでも空けるよ?」

主任のことなど眼中にないとばかりに専務はそう言うが、戸惑っている私の代わりにまた主任が答える。

「申し訳ないのですが、しばらく業務に支障があるので朝木には弁当を持参させています。昼に外に出す余裕はありません」

これには私のほうが驚いた。
お弁当を持参しているのは事実だ。けどそれは、少しでも節約しておけと言ういっちゃんからの指示。まぁ、おかずは全部鶴さん特製で、私はただ詰めるだけなんだけど。
それを、さも自分の指示だと言わんばかりにシレッという主任は、眉一つ動かさない。

すごい……。嘘も方便ってこういうのを言うんだ……

私は、そんなどうでもいいところに感心していた。
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