貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
まさかその返事がこんなことになるなんて思わず、私は人の話を聞かずに『はい』と言ってしまったことを反省していた。

歓迎会はお開きとなり、そしてそれぞれが適当に別れていくなか、私は主任と並んで歩いていた。

「本当によかったのか?」

隣から同情したような主任の声が降ってきて、私はそれに「はい……」とだけ答えた。

本当なら二次会には参加せず帰るつもりだった。と言うか、兄達には『心配だから一次会で切り上げて帰っておいで』と言われていたのだけど、ついうっかり返事をしたばっかりに参加することになってしまっていたのだ。
慌てて取り消そうとしたけど、宮内さんがあまりにも嬉しそうに「やった!」なんて言うものだから、さすがに言い出せなかった。

「主任ー!朝木さーん!こっちこっち!」

その宮内さんは他の営業さん達と少し前を歩いている。メンバーは歳の近い人ばかりで、全部で6人だ。
主任は隣でスマホに何か打ち込みながら歩いていて、それが終わったのか画面から顔を上げた。

「何時までいるつもりだ?」

主任はスマホを上着の内ポケットにしまいながら私に尋ねる。

「えーと、門限が10時なので、ギリギリあと1時間ほど……」
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