ほどけるいと。
閑話~珍しいシャーペン~
~高1~
「あれ,珍しいシャーペン使ってるね」
琴音はいつも,もっとシンプル可愛いのなのに。
朝,何気なく使っていたそれを,由芽は目ざとく見つけて指摘する。
「ふえっ」
「え? なんて?」
「な,なんでもない」
何か言われるなんて思ってもいなかった私は,動揺を分かりやすく露にした。
「な,なに」
取り繕っても遅く,由芽の真っ黒で大きな瞳が私を覗き込む。
「こっちのセリフ。それ,どしたん?」
由芽最大のニヤケ顔に,私は唇を柔く噛む。
「どっどうも,してないよ…」
「ほぉらもっと赤くなった~」
えっ?
自然と丸くなる瞳を持ち上げて由芽を見ると,変わらないニヤケ顔。
顔が,赤く?