失恋通告ラブレター


付き合って一年目、彼はおそろいのブレスレットをくれた。

いつもの公園のベンチで、私が一人で話していた場所だ。
そして、初めて私の名前を呼んだ。小夏、そういって彼が私の頬を包み込んだ。これは、あれなのか、キスなのか。
好きな人の顔が迫りくる中、私は唐突にみかちゃんの笑顔が浮かんだ。
数日前、彼女が私に彼氏かっこいいねと死刑宣告のように告げたときの般若の笑顔みたいな顔を。そして、嫌いな私に対して性的はけ口を求めているのではないか、そう感じてしまって。

私はとうとう、聞いてしまった。関係を滅ぼす言葉を。

「みかちゃんにはいつ告白するの?」

彼の動きがとまり、みるみる血の気が引いた後、見下すように歪んで笑っていた。

「おもちゃの俺が全部思い通りに動くと思うなよ」

噛みつくようにキスされた。がつん、と歯があたり、鉄の味がした。
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