もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
 爪先に頬をえぐられ、メイドの身体が勢いよく床に転がる。やわらかな絨毯に手をついて咳き込むメイドの前に立つと、ラベーラは容赦なくその頭を踏みつけた。

「ねえ、今どうしてほしい?」

「た……たす、けて……ください……お願いです、殺さないで……」

 ぐぐ、とラベーラが足に力を込め、メイドの頭を床にめり込ませようとする。

「そうよね。つらいことがあると、他人の助けを必要とするものなの。お前たちも、わかるでしょう?」

 ラベーラは怯えを見せるほかのメイドたちに向かって、艶やかな笑みを浮かべた。

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