もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
「アルド様もそうだと思わない? 大変な状況にあれば、私を……聖女を求めてくれるわよね? だって、今までもそうだったもの」

 彼女が言う今までというのは、アルドの話ではない。

 聖女を騙っていた頃、人々は厳しい環境で苦しめば苦しむほどラベーラを強く求めた。

だから彼女は、すぐに人々を救わず、わざと苦しめ、傷つけ、承認欲求が満たされるまで放置したのだ。聖女ラベーラの存在を、下々の者の心に刻みつけるために。

「リンデンにはどう手を出せばいいかしら? これから忙しくなりそう。ついでに邪魔者も消してあげなくちゃ」

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