結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
 目を細めて微笑みながら手を振るアルベルトに、ソフィアはふわりと口元を緩めて微笑みを返す。

 ソフィアはその日一日中、ふわふわと浮き立つこころを抑えることができなかった。





 次の日もソフィアはソワソワしながら外出する支度をした。日中は通いの召使や料理人がいるが、夜はミリーと二人になる。けれどセイリュースの街は治安がいいから、それほど心配することはない。

「お嬢さま、今日も日差しが強いので、日焼けしないようにお気を付け下さい」
「わかっているわ。今日は日傘を持っていくわね」

 ソフィアは自慢の珊瑚色の髪をハーフアップにした。昨日、エルーサのお店で見つけた白い貝の髪飾りを一目で気に入ったソフィアはそれを髪につけると、サーモンピンクのワンピースの上に白いボレロを羽織る。

(今日も、アルベルトさんに会えるかな)

 チークをつけなくても、頬がすでに赤くなっている。その感情がどこから来るのか、ソフィアはまだ気がついていなかった。男爵令嬢の自分が、絵描きの卵にこころを奪われることなどあってはならない。それでも、彼に惹かれる想いを抑えることはできなかった。

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