結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
リヒトはソフィアに蟹を見せて満足したのか、向きを変えると再び岩場に向かっていく。その一部始終をアルベルトはことばを失くしたように驚きながら眺めていた。
「ソフィア、その子は……」
「私の子なの」
ソフィアはリヒトを見つめながら、静かに俯いた。リヒトの姿を見られたからには、隠しきれるものではない。それでも、アルベルトの子だと伝える勇気はまだなかった。二人の間を緊張した空気が支配する。まるで張りつめた糸で結ばれたように、二人は動くことができなくなった。
アルベルトはおもむろに胸のポケットから白い包みを取り出すと、ソフィアに中身を見せるように広げた。そこには、かつてアルベルトがソフィアに渡した金の指輪があった。
「さっき、僕の部下がこの指輪を見つけて届けてくれた。質に流れていたから、これを預けた人の名前も聞いてきたよ」
アルベルトがソフィアに見せた指輪は、ヘザー侯爵家の家紋の入った指輪だった。リヒトが病気になった時に、どうしても医者に見せるお金が工面できなくて質に入れていた。どうにかして買い戻したかったが、お金を貯めることができずに流れていたものだ。
「これは、ヘザー侯爵家に子どもが生まれた時に渡され、その伴侶に渡す指輪なんだ」
「……」
「ソフィア、その子は……」
「私の子なの」
ソフィアはリヒトを見つめながら、静かに俯いた。リヒトの姿を見られたからには、隠しきれるものではない。それでも、アルベルトの子だと伝える勇気はまだなかった。二人の間を緊張した空気が支配する。まるで張りつめた糸で結ばれたように、二人は動くことができなくなった。
アルベルトはおもむろに胸のポケットから白い包みを取り出すと、ソフィアに中身を見せるように広げた。そこには、かつてアルベルトがソフィアに渡した金の指輪があった。
「さっき、僕の部下がこの指輪を見つけて届けてくれた。質に流れていたから、これを預けた人の名前も聞いてきたよ」
アルベルトがソフィアに見せた指輪は、ヘザー侯爵家の家紋の入った指輪だった。リヒトが病気になった時に、どうしても医者に見せるお金が工面できなくて質に入れていた。どうにかして買い戻したかったが、お金を貯めることができずに流れていたものだ。
「これは、ヘザー侯爵家に子どもが生まれた時に渡され、その伴侶に渡す指輪なんだ」
「……」