結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
 厳しいことを言う家庭教師(カヴァネス)もいないし、今回は同伴した侍女のミリーが腰を痛めてしまい、外出ができないでいる。年齢が重なるように体重を増やしたミリーは、膝にも痛みがでて休んでいる。おかげでひとりで外を散歩することが許された。

 水色のワンピースに白くつばの大きい帽子を被ったソフィアは、鼻歌を歌いながらつかの間の自由を楽しんでいた。珊瑚色の髪は緩やかにウェーブして艶やかに広がっている。少し低めの鼻だけれど、ぱっちりと大きな瞳は琥珀色をしている。

とびぬけた美人ではないけれど、そこそこの美人——と、本人も思っている。笑うとえくぼができるのが専らの悩みだが、幼いころから世話をしてくれているミリーはそのえくぼが可愛いという。

この夏の休みが終われば、王都では秋の社交シーズンが始まる。適齢期になったソフィアも、結婚相手を見つける為に嫌でも出席しなければならない。

(あんな窮屈なコルセットをつけても、全然楽しくなんかないのに)

< 2 / 231 >

この作品をシェア

pagetop