結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
 そして、思わぬところから嬉しいニュースが飛び込んで来た。レッドロックスのジミーが、新聞を見てエルーサの事務所に飛び込んで来た。

「おいっ、エルーサ! って、ソフィアもいたのか。 お前たちは凄いな! 今度からソフィア・ラインが王室御用達になるんだろ?」
「あら、新聞に載ったの?」

 なんと、ソフィアの編んだ作品をアルベルトは買い占め、それを王室に献上していた。作品を目にした王妃がいたくレース編みを気に入って——、今度からエルーサの会社の『ソフィア・ライン』として納めることに決まったのだった。

 王室御用達となれば、貴族の間で評判になるに違いない。これからはソフィアの編んだ作品を最高級品として売り出す予定だ。王室も使う芸術的な作品と認められれば、ナード糸で作られた作品はただの土産物ではなく、価値ある一品として価格を上昇できるだろう。

「やっぱりヘザーズの社長は只者じゃなかったな。セイリュースには観光と海産物しか目立った産業がなかったのに、ナード糸の手芸品がいっぱしの産業になっちまう。お前の旦那のおかげだよ。ソフィア!」

 嬉しそうに顔を輝かせたジミーは「これから忙しくなるな」といって用事を済ますとすぐに事務所を出て行った。アルベルトはレッドロックスを買収することなく、資金提供をして支援するようだ。競争のない産業はすぐに衰退すると言って、ヘザーズは様々な会社を支援している。
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