結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~

ただ、レッドロックスへの融資の条件がジミーの婚約か結婚だというのは、ソフィアには秘密だった。アルベルトの狭義心ゆえの方針から、ジミーは必死になってお見合いをしていたと、後に彼の結婚式の時に知ることになる。





 王都では今年、新たに選ばれた王室御用達の職人を集めるパーティーが開催されることになり、ソフィアも招待された。ヘザー侯爵夫人として、初めて王宮に上がることになる。

 六年ぶりの王都に行くと、ところどころ変化はあるがそれほど目立った違いは見当たらない。むしろ、アルベルトの車に乗って移動することが、これほど便利だとは思わなかった。

 馬車よりも確実に揺れが少なく、早く移動できる。馬車であれば三日ほどかかる道も一日で移動できるが、旅慣れていないリヒトのことを考え途中で一泊することで、より快適に旅することができた。

「アルベルトのご両親に会えるのが楽しみだわ。リヒトのことも喜んでくれたみたいね」
「兄の子が生まれるのを、あれほど楽しみにしていたくらいだから。当時、君とリヒトのことを知っていればどれだけ慰められていたか。まぁ、今さら言っても仕方ないことだけど」

 心を病んでいるというアルベルトの父は、王都にいて最新の治療を受けている。今回は結婚の挨拶と共に、リヒトを会わせることにしている。リヒトにとっても、大切な祖父、祖母になる人達だ。

< 220 / 231 >

この作品をシェア

pagetop