記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
顔を上げた先にはいつも通りの…優しいクロさんの顔があった。
『クロさ…』
『ミホ…すまなかった』
『え?』
私はクロさんに突然謝られ、困惑してしまう。
クロさんは何も悪いことしていないのに…どうして?
謝らなきゃいけないのはむしろ私なのに…。
『クロさん、私の方こそ申し訳ありません!私が勝手に動いてしまい…本当に申し訳ありませんでした!!』
私は深々と頭を下げる。
すると、クロさんは私の頭をそっと撫でた。
…クロさん?
『俺がお前から目を逸らしたのがいけなかった。すまない…』
そう言ってクロさんも私に頭を下げた。
私はぶんぶんと首を横に振る。
『クロさんは悪くないです!私が悪いんです!』
クロさんは絶対悪くない。
私がはしゃぎすぎたから。
クロさんのこともっと…知りたいと思ってしまったから…それ以外何も見えなくなっていた。
『クロさん!私…私は、クロさんのことをもっともっと知りたいですっ!』
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