記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
そんなところにドアがコンコンと2回なった。
そのあとに聞こえた声はクロさんのものだった。
「ミホ、起きてるか?」
どうやら私が起きているかの確認みたいだ。
いつも確認に来てくれているのをすっかり忘れてしまっていた。
私は急いで髪をサッと整えた。
「おはようございます、クロさん!」
私はドアをそっと開け、クロさんに挨拶した。
クロさんはいつもと変わらず、落ち着いていた。
「今日のことなんだが…」
「あ、はい!」
いつもは朝食を一緒に食べ、そのあと支度をしてからギルドに向かう。
というのがいつもの流れだけど…今日はどうやら違うみたいだ。
お食事のお誘いではなさそう。
「俺は用ができたから今日は行けない。ミホは好きにしてていいから」
用とは…なんだろうか。
気になったが聞いてはいけないと思い私は我慢した。
「わかりました」
そして少しお話したあとクロさんと別れた。

私は息を吐き、目を閉じる。
そしてあの夢で見たものを思い出しながら唱えた。
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