紅蓮の炎は心を壊す
熱くないことに紅葉が驚いてると、ヒノカグはニッと笑って言った。

「紅葉、俺をお前の家に連れてってくれよ。そんで、俺が元の姿に戻れるまで、家に置いてくれないか？」

「えっ！？」

「頼むよ〜。一週間くらいで元の姿に戻れるからさ。雨に濡れたら、今の俺は消えちゃうんだ」

「……」

ニコニコと笑っていたヒノカグは、不安げな表情で紅葉を見つめる。紅葉は迷ったものの、自分がこんな場所に一人置き去りにされたら、と考えると選択肢は一つしかない。

「わ、わかりました」

紅葉がそう答えると、ヒノカグは「やった！ありがとう、紅葉！」と紅葉の手のひらの上ではしゃぐ。

こうして、村娘と神様の奇妙な同居生活が始まったのである。



「ただいま帰りました」

「おかえり〜、紅葉！」

紅葉が泥だらけになりながら家に帰ると、囲炉裏にいるヒノカグが嬉しそうに笑いながら出迎えてくれる。ヒノカグが出迎えてくれる度に、紅葉の脳裏には、まだ両親が生きていた頃のことが思い出される。二人も、ヒノカグのように笑顔で出迎えてくれた。
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