紅蓮の炎は心を壊す
「今日も仕事大変だっただろ?」

「そうですね。今日もマメができちゃいました」

ヒノカグが訊ね、紅葉は今日あった仕事での出来事を話す。紅葉の話にヒノカグは相槌を打ち、温かいものが胸に広がっていくのを紅葉は感じた。今まで、一人だった家に誰かがいてくれる、話を聞いてくれる、それは一人ぼっちの十五歳の少女にとって、どんなプレゼントよりも嬉しいものなのである。

「明日も仕事だろ?飯あっためておいたから食えよ。その後は水を鍋に入れろよ。湯にしてやるから、体を拭け」

「ありがとうございます、ヒノカグ様」

ヒノカグはずっと囲炉裏から離れず、お粥を温めたり水を温めたりしてくれている。そのおかげで、紅葉は怖い思いをしながら山に入らずに済むため、ヒノカグの存在をありがたく感じていた。火の神様、というものもう信じている。

「……なぁ、俺が元の姿に戻れたら、何かしてほしいものとかあるか?俺、紅葉のためだったら何でもあげるぜ!」
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