ブルー・ロマン・アイロニー



『カムパネルラ、また僕たちふたりきりになったね。どこまでもどこまでも一緒に行こう。僕はもうあのさそりのように、ほんとうにみんなの幸いのためなら、僕のからだなんか百ぺん焼いてもかまわない』


それは童話を映像化したアニメだった。

孤独な少年が、友人と銀河を渡る鉄道に乗って旅をする物語。


暗がりの視聴覚室で真剣に映画を観ている生徒なんて過半数もいなかった。

ド派手なアクションものじゃなく、終始淡々と進んでいく映画だからよけいだろう。


わたしもいつものごとく寝不足だったから睡眠に時間を割く予定だったけれど、なんだか無性に話の続きが気になって、うっすらとベールがかかったような頭でスクリーンを見つめている。

ふと気になって隣をちらりと見ると、ノアは真剣な目で画面を注視していた。


めずらしいな、いつもドラマや映画なんて「体が、人間でいうところの拒絶反応を起こしてる」とかなんとかいって観ようとしないのに。

そう思ったわたしは声をかけることなく視線を前に戻した。



『けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう』


スクリーンの中のふたりは、“ほんとうのさいわい”のために共に歩もうと誓いを交わす。



『どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行こう』


ジョバンニがカムパネルラを振りかえるとそこにはもう誰もいなかった。



そうしてジョバンニの長かった銀河の旅は終わり、エンドロールを迎える。


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