姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
この料理はどうやって作るのだろうと、キラキラと目を輝かせているとゼルナが悲しそうに呟いた。
「……ごめんね、ウェンディ」
「え……?」
「別邸では自分達で何でもしなければならない。殆ど何も説明もない状態で、君にあの暮らしを強要したことを申し訳なく思っているよ」
「!!」
どうやら言葉が違う意味に受け取られてしまったらしい。
弁明する為に急いで口を開いた。
「違います……!」
「ウェンディ、無理しなくても……」
「無理などではありません!私がこんな素敵なお料理を作れたら、マーサさんを驚かす事が出来るのかなと考えていたのですっ!」
「…………!」
「勿論、直ぐに頼む事は無理かもしれませんが、屋敷の方達と仲良くなったら教えて頂けたらな……と」
ゼルナは驚いているのか目を丸く見開いている。
その後、顔を伏せてしまい更に焦ってしまう。
「屋敷に来たばかりなのに烏滸がましかったでしょうか?」
「ううん、違うんだ……」
慌てて言うとゼルナは否定するように首を横に振った。
「君がそう言ってくれる事がとても……とても嬉しくて。ありがとう、ウェンディ」
そう言って子供のような無邪気な笑みを浮かべたゼルナの表情に、キュンと胸が締め付けられた。
いつもこんな風に笑っていたのかと思うと、もっと早く見たかったと思わずにはいられなかった。