姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
「…………ッ」
「……ウェンディ?」
まるで何もなかったかのように、悪びれのない様子で話すフレデリックの姿を見て愕然としていた。
当然のように掛けられる言葉には、申し訳なさなど微塵も感じなかった。
(私の感覚がおかしいの……?)
此方の気持ちなど一切、関係ないのだろう。
突き付けられた現実に胸が騒ついた。
恐らくフレデリックの中に、裏切った罪悪感など微塵もないと気付いてしまったからだ。
塞がりかけていた傷が疼き出す。
それと同時に、自分がいかにどうでもいい存在なのかを思い知らせたような気がした。
「フフッ……ウェンディ、こんなところで一人で何してるの?」
「………お姉様」
「わたくしはフレデリックと次のパーティーに着ていくドレスを選んでるの……ねぇ?」
「あ、あぁ……」
「そんな所で侍女も連れずに何してるのかしら……?もしかしてマルカン辺境伯の変わり者の子息に一人で適当にドレスを買ってこいって言われたとか……?フフッ」
「おい、ジャネット!やめろよ」
「だってぇ、こんなところに一人で立っている理由なんて他にないじゃない?」
「…………」
「そんな言い方はよせ、ウェンディが可哀想だろう!?」
「本当……どこに行っても同じ。貴女は選ばれないのよね?」