姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
「…………そ、れは」
「貴方の隣に居るのは"私"でなくとも良かったんです。今まで大切に思われていなかったのだと、愛されていなかったのだとゼルナ様と共にいて、そう気付く事が出来ました」
「そんな事は……っ!」
「あの時の苦しみを思い出すと胸が痛みます。けれど、こうしてゼルナ様と共に歩む事が出来て今は……心から幸せです」
「ウェンディ……僕もだよ」
「ありがとうございます。ゼルナ様」
「…………ぁ」
何かを言おうとしたフレデリックを真っ直ぐ見つめていた。
もう彼の顔色を窺う必要なんてない。
言いたいことは山のようにあったけれど、言葉はもう要らないと思った。
どれだけ過去を嘆いたところで"今"は変わらないからだ。
しかし一つだけ……どうしてもやりたい事があった。
「だけど、互いに前に進む為に……ケジメをつけてもいいですか?」
その提案に驚くように目を見張った後、フレデリックはゆっくりと頷いた。