姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
周囲の視線もフレデリックに集まっている。
訪れた沈黙…………それでも彼は逃げ出さなかった。


「裏切って、すまなかった……!」


フレデリックは突然、頭を下げた。
静まり返った会場で悲痛な声が響いていた。


「あの時……俺は!!ウェンディに追いつけない自分が悔しかったんだッ!弱くてごめん……頼ってばかりでっ!俺は……っ、俺は!」


震える声で謝罪するフレデリックを見ても、傷付いた心が癒える事も気分が晴れる事もなかった。
長年、婚約者でいた自分よりも姉を選んだ。
その事実は変わらない。
今までの事を考えれば、何を言われようと許す気にはなれない。

ーーーだけど


「顔を上げて下さい」

「……っ」

「私は…………貴方を今でも許せません」

「!!」

「フレデリック様は"都合の良い私"が好きだっただけ。たとえ、それが私の不幸の上に成り立っていたとしても構わない。自分が幸せなら、傷付かないのならそれでいいと…………そう思っていたのでしょう?」
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