姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
ウェンディには懐いているくせに、此方には絶対に近付いて来ないのだ。
そんな弟を見る目がない、可愛くないと思っていた。

一人で食卓に取り残されて唖然としていた。
今、苛立ちを感じているのは弟に対してではない……ウェンディだ。

(ウェンディが、嫁いで行った……?わたくしより先に!?)

最悪な気分だった。
此方がフレデリックと結婚する前に、嫁いで行ったというのだろうか。

(しかも、婚約じゃなくて結婚……!?何よそれ)

一体、何の嫌がらせだろうか。
腹が立って仕方がなかった。
いつも一歩先に行くウェンディに置いてかれたような気分になるからだ。

(普通、婚約者を取られたら、もっと動揺して悲しむはずでしょう!?立ち直れないんじゃないの……!?何で平然としていられるのよッ)

何よりも大してダメージを受けていないウェンディの反応が気に入らないのだ。
そしてフレデリックと一緒に居る姿を見せる事も殆ど出来ないまま、さっさと辺境の地へと行ってしまった。

フレデリック一筋だったウェンディに深い仲の令息なんて居なかった筈だ。

(信じられない……!フレデリックはどうでもいいの!?)

それに表向きは傷物であるはずのウェンディを、あっさりと受け入れたマルカン辺境伯やゼルナに対しても信じられない気持ちで一杯だった。

何よりあの真っ黒な封筒を手に取ったとは思えなかった。
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