姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
どうやら二人は親子ではあるが、全くタイプが違うようだ。
豪快でストレートなマルカン辺境伯と、控えめで照れ屋なゼルナ。

(真逆ね……私とお姉様みたい)

ふと、ジャネットの顔が思い浮かんで、掻き消すように小さく首を振った。

辺境伯は変わり者というよりはギャップが激しいと言うべきなのだろうか。
やはり父親である辺境伯の前では、いつものゼルナとは違うように思えた。

(……マーサさんや他の方達にも普通だけど、一向に私には心を開いて下さらない)

どこまで踏み込んでいいのか分からずに微妙な距離感に思い悩んでいた。
話し方も態度も此処に来てから変わらずに、ゼルナとの関係は全く進展していない。

テーブルには先程マーサと共に作った料理が並べられていた。
辺境伯はご機嫌に鼻唄を歌いながら席に着く。

(辺境伯は……この関係を知ったら、きっとガッカリするでしょうね)

マーサは渋々ながらも席に着くゼルナの姿を見て嬉しそうに顔を綻ばせた。
そしてクルリと踵を返すのを見て、引き留めるように声を掛ける。


「あの、マーサさん……!」

「ウェンディ様、どうかなさいましたか?」

「マーサさんも、いつものように一緒に食べませんか……?皆で食べた方が美味しいですし」

「……!!」

「!?」

「あ…………か、勝手な事を……出過ぎた真似をしてしまって申し訳ございません!!」

「……ウェンディ様」
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