姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
(ゼルナside)

ウェンディがマーサと食べ終わった皿を片づけている間ーー


目の前に立っていたのは険しい顔をした父だった。


「ゼルナ……」

「…………僕は」

「これがデイナント子爵夫人から送られてきた手紙だ。読んでみなさい」

「……はい」


厚い封筒の中から数枚の紙を取り出した。
驚くべき事に枚数が進むにつれて、インクが滲んだ跡がある。
恐らく涙の跡だろう。

子爵夫人の手紙を端から端まで通して読んでいた。

読み進めていくうちに、ウェンディがどんな経緯でこの場所に足を踏み入れたかが見えてくる。
震える手で手紙を折りたたんだ。

そこには母親として娘を心から思い遣る言葉が綴られていた。

心から愛していた婚約者と姉が、体の関係を持ってしまい、その裏切りを目撃してしまったこと。
婚約を解消した後に、醜聞を恐れて元婚約者と姉がすぐに婚約したこと。
そして……ウェンディは心ない噂に苦しめられていた事。
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