姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
「ウェンディが良識ある令嬢だったから良かったものを……。一歩間違えれば取り返しのつかない事になっていた。分かるな?」

「……はい」

「今までは、お前が自分で向き合えるようになるのを待っていた。そして今回の事でやっと覚悟を決めたのだと思っていた……しかし、違ったようだな」

「……」

「ゼルナ……自分の世界を広げて前に進んでいかなければ大きな変化は望めない。今までは黙っていたが、今回ばかりはそうはいかない」

「………」

「ウェンディは、もうお前の妻なのだ。他人ではない」

「!!」

「幸せにしようという努力が出来ないのなら、今すぐに彼女を手放しなさい。マーサにも報告を貰っていたが、あの子はとても素晴らしい子だ」

「だけど、そんな……」

「私が全ての責任を取り、彼女の生涯の幸せの為に全力でサポートをしよう……嫁ぎ先を探し、彼女が幸せになれるまで」

「…………」


何も答えられなかった。
父がそのまま去っていくのをただ黙って見ていた。
ウェンディの事情など知りもしなかった。

(知るわけない……知ろうともしなかった)
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