何もかも奪われた純白の聖女は全てを破壊する

1章 嚆矢

ーーー異世界に来て、一年経った。



今日はついに大結界を張る日だった。



(……上手くいきますように)

結界を張る作業は膨大な魔力を必要とする為、危険が伴うのだと聞いてドキドキする胸を押さえていた。
何人かの聖女は命を落とした事もあるのだと聞いた時、身震いした。

久しぶりに会ったカーティスに聞きたいことが沢山あったが、カーティスに話しかけようとするとアンジェリカが、すかさず間に入る。


「今日は頑張りましょうね……!!」

「はい…」


「いってきます」と小さく言った手を振った。
カーティスは複雑な表情を浮かべながら「……ごめんね」と呟いた。
そんなカーティスの心内を知る事は出来なかった。

その意味を問いかけようとするとカーティスは逃げるように去って行ってしまった。
モヤモヤとした気持ちは消えないまま、聖女の間へと足を踏み入れた。

外からは鍵が掛けられて、暫くは誰も部屋に入る事が出来なくなった。

アンジェリカと共に魔法陣の前に立つ。

 
「アンジェリカ様………緊張しますね」

「大丈夫ですわ……だってサラ様は、とても頑張っていましたもの」

「はい…!不安だけど、アンジェリカ様と一緒なら大丈夫ですよね」

「………そうね」


ここは聖女の間と呼ばれている神聖な場所だった。
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