何もかも奪われた純白の聖女は全てを破壊する
大結界を張る為の場所で床には魔法陣が描かれていた。
普段は入れないように厳重に鍵が掛けられている。

大きく息を吸い込んで目を閉じてから力を込めると魔法陣が光出す。
魔法陣に引っ張られそうになりながらも、懸命に力を送り続ける。

力を送っていれば完成すると言われた魔法陣が、完全に光らない事に疑問を持ち、アンジェリカに声を掛ける。


「アンジェリカ様……?」

「あのね、サラ…」

「アンジェリカ様も、ちゃんと力を込めないと大結界は……」

「………どうでもいいわよ、こんな作業」

「えっ…!?きゃあ……ッ」


突然、魔法陣の中へ突き飛ばされて悲鳴をあげた。
何が起こったか分からずに戸惑いつつも、顔を上げてアンジェリカを見る。

するとアンジェリカは唇を歪めて笑っていた。
起きあがろうと腕に力を込める。

けれど、片足が魔法陣に飲み込まれて抜け出せない事に気付く。
焦りを感じてアンジェリカに助けを求めた。


「どうしよう…アンジェリカ様っ!たすけて…ッ」


魔法陣は明らかにサラを取り込もうとしている。


「……サラって、本当に気持ち悪いくらいに善人なのね」

「え!?」

「お人好しを通り越して……もはや馬鹿よ」

「………っ」

「この国の人達の言うことを全部信じて、ホイホイ言う事を聞くなんて異世界人って、皆こんなに阿保なのかしら」

「でもっ、国を救う為に…!」
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