【短編】保健室の常連客
2人に見つからないよう、登校してきた他の生徒に紛れてトイレへ。
チャイムが鳴るギリギリまでこもり、教室に入った。
肝心の広川くんはというと……机に突っ伏している。
登校早々、感じ悪かったよね。酷いことをしたのは私なのに。
でも、今はまだダメ。
顔を合わせても、多分緊張と恐怖で何も話せない。
寝ていて気づかないのをいいことに、挨拶せず自分の席に着いた。
◇
「ありがとう恵理ちゃん。助かったわ」
「いえいえ。仕事ですから」
金曜日の昼休み。
山積みになった保健だよりを、石出先生の机の上に置いた。
委員会に向かう途中、ちょうど印刷室から先生が出てきて、運ぶのを手伝ったのだ。
「今日は何をしたらいいですか?」
「そうねぇ、まだお客さんもいないし、これをクラスずつに分けてくれる?」
「わかりました」
保健だよりの山を半分取り、中央のテーブルに移動。
全クラスの人数が書かれたメモをもらって、作業に取りかかる。