Rain shadow─偽りのレヴェル─
「やめやめ、俺は別にお前らとどうこうするつもりで来たんじゃねぇっつーの。
まだ執行猶予がついてるからよ、下手な問題は極力起こしたくねェんだ」
「…お前がその気じゃなくとも、俺らにはてめぇをぶちのめす理由があるんだよ」
「理由?はははっ、俺が蛇島 翠加を犯して殺したって理由のことか?」
そのとたん、瀧の泣き声に似た叫びのようなものが聞こえてくる。
どうして瀧がここまで怒っているのか。
みんな殺気を露(あらわ)にしているのか。
その理由をこんなにも簡単に放ってしまうことができるそいつは、名前のとおり鬼そのものだった。
鬼木 蛇雄(おにき だお)───、
まちがいない、この男が翠加さんの命を奪ったかつてのViperの総長。
「瀧、どうだ?俺からViperを乗っ取った気分は」
「……さいっこうだよ…、早くあんたを殺したくて仕方ないくらいな、」
「はっ、誰がそこまでお前を育ててやったと思ってんだ。恩返しもナシかよ」
「…なに言ってんだよ鬼木。それがあんたに対する恩返しに決まってんだろ、」
フー、フー、と。
呼吸を繰り返す瀧のこめかみには血管が浮き出ていて、みんな揃って瞳孔は開いていた。