若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「青谷。北菱さんの旦那さん、北菱グループの代表。わかる?」

桃山が耳打ちすると、ようやく思い当たったのか、青谷はひくりと頬を引きつらせた。

「北菱グループって……まさか、北菱銀行の? 金融王?」

「わかったら、もう二度とかみつかないで。うちの会社、潰されちゃう」

桃山に半眼で睨みつけられ、青谷はようやく自分がしでかしたことを自覚したようだ。

青い顔になって、足音もなく、すーっとその場を立ち去った。



一階のパーティー会場にて乾杯と社長の挨拶、立食の懇談を終え、レストランシップは埠頭に着岸した。

社員たちが近くの駅に向かって歩き出すのをよそに、慶は車を呼びつけて、美夕とともに後部座席に乗り込む。

「あの……慶。今日は付き合ってくれてありがとう」

青谷との一件があってから、妙に気まずい。慶は「ああ」と短く応じると、そのまま黙り込んでしまった。

(まさか怒っているわけじゃないと思うけれど……)

慶の気分を害してしまったことは間違いない。申し訳なく思いながら、美夕は大人しく自宅に着くのを待つ。

家に到着してそうそう、慶はリビングのソファに深く座り、ネクタイを緩めながら苛立った声を上げた。

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