若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
一緒にお酒を飲めなくてごめんねと謝ると、慶は好きに飲んでいるからかまわないと、好みのワインをオーダーする。

美夕が気を遣わないように、あえて合わせないでくれているのかもしれない。

(彼はとても優しい人)

そう口にしたところで、茶化すか否定するかのどちらかだと思うけれど。

不器用。そんな言葉が慶にはしっくりくると、最近の美夕は思っている。



楽しい一日を過ごした翌日、美夕は仕事を早めに切り上げて病院に向かった。

内科でも胃腸科でもなく、婦人科だ。

診察を終えた美夕は、やっぱりなのねと腹部に手を当てて息をつく。

ここしばらく生理がこなかった。

その上、味覚の変化。酸味のあるものが妙に食べたくて、胸やけに悩まされることもたびたび。

最初は風邪かと思っていたけれど、ふと慶と体を交わらせているときに、これは妊娠していても不思議ではないと気がついた。

(妊娠八週目……)

それが医師から下された診断だ。

愛する人との間にできた子。愛おしく思う反面、単純に嬉しいとは言えなかった。

生まれて初めて起こった体の変化が、怖くもある。それに――

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