若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
慶が苦笑する。たまに美夕がカチャと食器の音を立てると、「どうしたお嬢様」といじわるにからかった。

でも、至らない部分を慶が茶化してくれるので、美夕は救われた気分だ。

「ワインが重いなら、シャンパンでも飲むか? 軽くて甘いものもある」

慶に勧められたが、美夕はミネラルウォーターがいいと断った。

ここしばらく、胃の不調を理由にお酒の誘いを断っている。

「もう二週間くらいになるよな。いい加減、病院に行った方がいいんじゃないか?」

「そう、ね。そろそろ行こうかな」

慶には説明していないけれど、美夕はこの不調に心当たりがあった。

(もしかしたら、私は――)

いずれにせよ病院に行かなければならないと、美夕は息をつく。

「……なにかストレスでも感じているのか」

ふと顔を上げると、慶が真剣な顔でこちらを覗き込んでいた。

(本気で心配させちゃった)

慌てて美夕は「そんなんじゃないわ」とまくしたてる。

慶はドライで放任な振りをして、実は結構な心配症だということを、この約二カ月間、一緒に過ごしてようやく気づいた。

「最近、少し仕事が忙しかったから。でも、たいしたことないから大丈夫」

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