若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「そういうことは、やめてほしいわ」

あきらめ半分で口にしたが、やはり言っても無駄だったようで『それより』と話題を変えられた。

『なんの用もなくあなたの番号なんて探し回るわけないでしょう? 大事なお話があって連絡したのよ。これから会えない?』

まともな用事ではないだろうと直感し、美夕は「ごめんなさい」と断りを入れる。

『応じてくれないのなら、今ここで言うわ。電話口でこんなことを言うのは、あまり好きじゃないのだけれど』

そう前置きすると、ツンとした声で美夕に命令した。

『慶さんと別れて。でないと、慶さんはあなたの父親と同じ目に遭うわよ』

「え?」

意味が理解できず、携帯端末を強く握る。

父親と同じ目とは、いったいなにを示唆しているのか――背筋が寒くなる。

「なにを言っているの?」

『気づいてもいないの? おめでたいわね』

江怜奈がふんっと鼻で笑う。

『うちの父なら、他人に罪を着せることだって簡単だってこと』

ゾッと血の気が引いた。

慶がパーティーの日、勅使河原議員に向けて放った言葉が脳裏をよぎる。

――歯向かえば検察に目をつけられ無実の罪を着せられる、とでも脅しますか――

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