若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「ホテルも快適だけど、さすがに毎日スイートじゃなくていいのよ?」

一泊するだけで美夕の月収を軽く超えている。その程度で慶の財力は揺るがないだろうけれど、美夕の中に培われたもったいない精神が疼いてしまう。

「スイートを取らないと、むしろホテルに迷惑だ。どんな部屋をオーダーしたにせよ、結局この部屋を案内されるだろうし、サービスの質は落とせないんだから」

相手としては、金融王に媚びない手はない。

なるほど、と美夕は納得した。どんな部屋を予約しようが相手側のかかる経費が同じならば、きちんと全額支払って最上級のもてなしを受けるべきだ。

美夕はソファに腰を下ろし、力を抜いた。勅使河原親子を前に自然と力んでいたのか、疲労を感じる。

だが、肩は軽い。

「これで、胸を張ってあなたの隣を歩ける」

もうふたりの結婚をとやかく言う者はいない。妨害をしてくる者もない。

犯罪者の娘だと、うしろ指を差されると怯える必要もないのだ。

堂々とふたりの子どもを産める。

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