若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「今日は不安な思いをさせて悪かった。大事な時期に」

慶が美夕の下腹部にちらりと目線を落とす。

「ううん。すべてが明らかになって、すっきりしたわ」

帰宅中の車内で、父がなぜ冤罪を被せられたのか、事情をすべて話してもらった。

かねて不正を働いていた勅使河原議員と、すべての罪を着せられ亡くなった秘書。

その事実を明らかにしようとしたのは、遺書を託された父たちだった。当時高嶺社長が勤めていたワールドジャーナル社の報道部門に遺書を持ち込んだ。

しかし、遺書を受け取った人物や高嶺社長は暴力団関係者の脅しを受け、事実の公表を断念。

議員に揺さぶりをかけた父も陥れられてしまった――というのがことの顛末だ。

「私は、父が堂々と表を歩けるようになってくれたらうれしい」

「ああ。きっとそうなる」

てっきり自宅に向かっているのだと思いきや、車はホテルに到着する。

もう誰に襲われる心配もないのでは?と思っていた美夕だが、まだ警戒は怠るなと慶は言う。

「しばらくはひとりで出歩かないように。命令系統が混乱している可能性もある」

江怜奈が反社の組織にどんな命令の仕方をしているかわからない。しばらくは警戒を続けた方がいいと言う。

だが、高嶺社長が暴露記事を出してくれれば、江怜奈と組織との繋がりは絶たれるだろうと慶は言った。

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