若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
その分、慶の休日の夕夏ファーストは凄まじい。朝から晩まで夕夏、そして美夕のために尽くしてくれる。

夕夏が慶の胸をぺちぺちと叩き出した。「パパ遊んで!」と言っているみたいだ。

「よし。じゃあさっそく水遊びするか。今日は暑いから気持ちいいぞ」

慶がサーフパンツとタンクトップに着替え、バルコニーの子ども用プールに水を貯める。

これほどカジュアルな格好の慶を見るのは美夕も初めて。

『金融王』と呼ばれる財界の重鎮がごく普通のお父さんに見えてくるから不思議だ。

いや、普通と言っても、ルックスは最上級のとんでもない男前で、ちっとも普通ではないのだが。

うしろ姿は逆三角形で、正面には割れた腹筋。

顔を見ると美貌が待ち構えていて、思わず美夕はその麗しい立ち姿に手を合わせて拝んだ。

「……なにしてるんだ?」

「あ、ごめん。幸せだなって感謝してたの」

美夕は夕夏にベビー用の水着を着せ、パパのもとに送り出す。

「かわいいな夕夏。ピンクのフリルか。そういえば、昔ママもそんなドレスを着ていたな」

初めて出会った日のことを言っているのだろう。美夕はふふっと笑みをこぼす。

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