若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
平日の夜八時。仕事帰りなのか、上質な三つ揃えのスーツを纏った慶が、リビングのダイニングチェアにふんぞり返る。

アットホームな木目調のチェアと彼がなんともミスマッチだ。

「来てくれとは、珍しいな。これまで、なんの沙汰もよこさなかったくせに」

「ご迷惑になると思ったので、できる限り連絡は控えていました」

六年経った慶は、少しだけ雰囲気が変わっていた。

もともと堂々とはしていたが、さらに増した威圧感。日本という国を背負うだけの貫禄がある。

形容ではない。今や、慶は日本の景気を左右するだけの力を持っている。

二年前、慶は父親から北菱グループ関連各社の代表取締役や統括の座を次々に受け継ぎ、事実上組織のトップに立った。

もともと北菱グループといえば、銀行や証券会社など金融系に強い企業を多く抱えていて、北菱銀行といえば、世界でも五指に入るメガバンクだ。

加えて今年、日本一の経済団体とも呼ばれる日本経済団体連盟会、略して『経団連盟』の副会長に最年少で就任。次期会長との呼び声も高い。

経団連盟の会長といえば、財界総理とも呼ばれる人物。政治、行政にも影響を及ぼせる立場にある。

慶はその若さで、財界トップの座に王手をかけたわけだ。

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