若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
二十一時、夕食を食べてから帰宅すると、マンションの前に大きなトラックが停まっていた。
運び出される家具に見覚えがあり、まさかと蒼白になる。
階段を使い三階まで駆け上がり、踊り場で足を止める。やはり運び込まれているのは美夕の部屋のもの。
六年前、北菱家に帰ってきたら、自室が空になっていたことを思い出した。
「ちょっとすみません!」
荷物を運び出す作業着の男性を押しのけて家の中に上がり込むと、リビングの中央にスーツを着た慶の姿。
美夕の姿を目にすると「ちょうどいいところに来た」と言って、左右の手にそれぞれ一枚ずつ、紙を掲げた。
「荷物の運び先を選べ」
紙には地図が印刷されている。美夕は両方の紙を慶の手から奪い取り、わなわなと震えた。
「……というか、またあなたは私の承諾もなく勝手に荷物を運び出して」
六年前は百歩譲って仕方がなかったと思える。
美夕はまだ社会に出ておらず、ひとりで生きていくことなどできなかったのだから、だれかの保護を受け、その結果振り回されることになっても文句を言える立場ではない。
だが、もう美夕は社会人だ。本人への確認もなしに、立ち退きまがいの実力行使に出られるのは不本意である。
と同時に、ここを追い出されるということは、慶が夫婦になるのをあきらめたのだと美夕は悟った。
運び出される家具に見覚えがあり、まさかと蒼白になる。
階段を使い三階まで駆け上がり、踊り場で足を止める。やはり運び込まれているのは美夕の部屋のもの。
六年前、北菱家に帰ってきたら、自室が空になっていたことを思い出した。
「ちょっとすみません!」
荷物を運び出す作業着の男性を押しのけて家の中に上がり込むと、リビングの中央にスーツを着た慶の姿。
美夕の姿を目にすると「ちょうどいいところに来た」と言って、左右の手にそれぞれ一枚ずつ、紙を掲げた。
「荷物の運び先を選べ」
紙には地図が印刷されている。美夕は両方の紙を慶の手から奪い取り、わなわなと震えた。
「……というか、またあなたは私の承諾もなく勝手に荷物を運び出して」
六年前は百歩譲って仕方がなかったと思える。
美夕はまだ社会に出ておらず、ひとりで生きていくことなどできなかったのだから、だれかの保護を受け、その結果振り回されることになっても文句を言える立場ではない。
だが、もう美夕は社会人だ。本人への確認もなしに、立ち退きまがいの実力行使に出られるのは不本意である。
と同時に、ここを追い出されるということは、慶が夫婦になるのをあきらめたのだと美夕は悟った。