若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「……お前、今いくつだ」

は?と美夕は眉をひそめる。まさか自分の妻の年齢も知らないのだろうか。

「……十八ですが」

「そうか。自覚しているようで助かった」

慶はゆったりと頷くと、漆黒の双眸を美夕に向けた。美しく、それでいて冷ややかで、見るものを震え上がらせるような威圧感を放っている。

慶は良家の跡取り息子、とんでもない財力や権力を有すると同時に、並外れた美貌も兼ね備えており、ルックスは完璧だ。

男らしく精悍なその眼差しで射抜かれれば、平静でいられる女などいないだろう。

そんな彼が、蔑むかのように美夕を睨んだ。

「十八のガキが男を誘惑しようなどと考えるな。ガキはガキらしく、勉学に励め」

その言葉には、温厚な美夕もさすがにカチンときた。

十も年下の新妻が、勇気を振り絞りセクシーな下着を身に着けて夫の帰りを待っていたというのに、その言い草はなんだ。乙女心を踏みにじりすぎではないか、と。

百年の恋が冷めた瞬間である。

「……お言葉ですが、十八のガキを妻に迎えたのはあなたではなくて?」

つい刺々しい言葉を発してしまったのは、若気の至りというやつだ。新婚生活に暗雲が垂れ込める。

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