若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「ほう。口は達者なようで頼もしい限りだ」

慶はにやりと口の端を跳ね上げ、美夕を見下ろす。

数秒睨み合うと、慶はすっと視線を横に逸らし、額に手を当てた。

「そもそも、どこで買ったんだ、そんな下着。近頃の十代は恐ろしいな」

「またまたお言葉ですが、こちらを用意したのは北菱家の使用人の方々です。これを装着して、夫婦でしっぽり子作りに励めと」

感情のままに嫌みを吐くと、慶はぴくりと片眉を上げ驚いた顔をした。

どうやら夫婦の営み用ランジェリーの手配については初耳だったらしい。

「そう、か」

ばつの悪い顔で相槌を打つ。

「余計な気を遣わせて悪かった。普通の恰好をしろ、俺は自室で寝る」

それだけ言い置くと、去り際にちらりと肩越しに振り向き、「風邪をひくなよ」と保護者のような台詞を残して寝室を出ていってしまった。

『ガキ』と言われて腹を立てた美夕だったが、暗に〝一緒に寝るつもりはない〟〝お前に女性的な魅力を感じない〟と言われたのだと気づき、ショックを受けた。

(子ども扱いされてしまったわ……)

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